一期一会 地球旅145 地球の歴史を見に行こう グランドキャニオンに遊ぶ(6)

一期一会 地球旅 145

地球の歴史を見に行こう グランドキャニオンに遊ぶ(6)

ハーミッツレストから戻り、午後は休養、シャワーを浴びたり、午睡したり、一行はさわやかな高原の午後のひと時を過ごされていた。 そんな中で好奇心旺盛なメンバーの中には、今度はぜひ夕日に照らされる大峡谷の風景を見に行きたいのでもう一度出かけるとのこと。この日はご来光を仰ぎ、午前から午後にかけてサウスリム各地で地球の歴史をはるかに見下ろす風景を様々な角度から楽しんでいただいていた。グランドキャニオンを訪れる多くの人たちの典型的な過ごし方であると思うが、これにもう一つ、夕日に照らされる大岩壁の光景をぜひ加えたい。 夕日を浴びて刻々と色合いが変わっていく大峡谷の静けさと幽玄の美はこれは筆者の乏しい表現力ではおよそ伝えきれないが、とにかく息をのむほどの美しさに圧倒される。静寂さと神秘的な大自然の絶景と色彩のグラデーションは見る人にしばし時のたつのを忘れさせるような素晴らしさがある。

昔は、貸切バスや自分たちのクルマで動くことができたので、夕日の美しい光景を眺めては、気に入ったところで車を停めて写真を撮ったり、暫し絶景を堪能することができた。しかし、今はシャトルバスで夕景が美しいといわれている数か所の名所を訪れるのが一般的。位置的にも午前はメイサーポイントなど東側でご来光を仰いだり、その後も一帯を観光することが多いが、午後から夕方にかけては、光線の具合などからも西側一帯、つまりハーミッツレスト・ルートがより見晴らしが良いとか。1 ただし、夕方になるとシャトルバスの運行回数も少なくなり、うっかり乗り遅れるとか、乗り間違えると大きなトラブルになりかねない。そこで自由行動中の数名のメンバーの行動ではあったが、ここは同行するほうが安全であり、こちらとしても気持ちが和らぐ。個人的には、これまでにも数回夕日に輝く大峡谷を眺めているが、いずれもかなり昔のこと。今一度、久しぶりに大自然の造形美を鑑賞するのも悪くない。夕日見物としては、モハヴェ・ポイントやホピあるいはピマ・ポイントがポピュラー。2ヴィレッジでシャトルバスに乗ると夕景見物目的の人が殆ど、動き出すとドライバーは今日の日の入りの時間やその後の最終バスの運行についてていねいにアナウンスする。バス停ごとに発着時刻が表示されているのではなく、日が落ちて30分後が最終バスとなっているし、公園で発行されている新聞やビジターセンター、ホテルのフロントなどでも案内がある。うっかり乗り遅れるとそれからあとの交通手段は徒歩によるしかないし、街灯もほとんどない。加えて野生の動物も出没するらしい。この日は、18時32分が日没であったと思う。

3 モハヴェ・ポイントに着いたのは、5時半くらいであっただろうか、大峡谷の対岸、ノースリムとその向こうに広がるココニノ台地はすこしずつ輪郭がぼやけつつあったがその間にある絶壁は夕日を受けて赤、茶、黄、黒、そして様々なグラデーションがあり、陰の部分もありすでに薄暗くなっていた。目をやると遥かな谷底を流れるコロラド川はところどころ夕日に照らされて白い帯のようであった。日中は、観光客でにぎわう一帯であるが、この時間はすでに人影も少なく、みんな夕日に輝く大峡谷に圧倒されてことばも少なく、静けさが漂っていた。メンバーは夢中でカメラを構え、ポーズをとっていた。時々刻々、絶壁の色合いが変わっていく。まさに色彩の魔術というべきか。

4そんな中でメンバーの一人からトイレに行きたいとの訴えあり。かなり我慢しておられたらしい。このルートではヴィレッジか終点のハーミッツレストしかトイレは無い。ヴィレッジに戻ってメンバーを待つか、それとも終点まで行って用を足してから戻って来るか? いずれかの選択が必要であった。結局、メンバーにはそのままここに残ってもらって夕日が沈んだ後、最終バスで合流することにしましょう、と約束をして件のメンバーと折しもやってきたシャトルバスで終点へ向かった。  15分ほどであっただろうか、ハーミッツレストに到着。昼間、ここには来ているので勝手は分かっている。5早速、用を済ませてもらい、バスを待つ。バス停には数名の観光客が居るのみで昼間のような賑わいは無かった。いつしか日も沈み、ココニノ台地が横一直線に広がり、すでに月が出ていた。間もなく、最終バスは動き出し、来た道を戻っていく。6モハヴェに戻ると数名の夕景見物の人たちと我がメンバーもバス停で待っていた。 夕日が落ち、大自然が織りなす終幕の舞台を堪能したとみんなは満面に満足感を見せていた。メンバーは間違いなく待ってくれているだろうか、もし乗り遅れたら大変!と気にはしていたが、それも杞憂で終わり、ほっと胸をなでおろした。すでに暗くなった中をバスは走りだしたが間もなくバスは徐行しはじめた。窓から見ると、道路端に2頭の鹿が歩いていた。昼間もロッジの近くで見たことがあるが、それよりはもっと大きかったかもしれない。もし、バスに乗り遅れるとこんな動物と出会うこともある、もし、これがコヨーテ(オオカミ)だったら? 考えると恐ろしくなる。こうしてヴィレッジに戻り、シャトルを乗り換えてマーケットプラザへ戻り、ロッジへ戻ったのは7時半くらいであっただろうか。すっかり夜のとばりが降りていた。

7この日はメンバー全員での夕食会が予定されており、スーパーで買い求めてきた食材や飲み物などを持参してロッジの一室に集まり、楽しい一夜。湯澤氏の司会でメンバー各位に今回の旅行についての感想を求められた。グランドキャニオンでは明日はもう一日フリータイム、そしてその翌日はラスベガスへ向かい、そのあとロスへ。残りの旅行を精一杯楽しみたいとみんな元気で嬉しい反応。こちらも疲れたなどとは言っておれない。これまでの行程の無事を喜び、最後まで楽しく、トラブルなどが起きないようにと願いつつ、この日を終えた。(以下、次号とさせていただきます。)

(資料  写真は、別記以外は、2015年9月筆者撮影)

グランドキャニオンの夕景(B-POP様提供)

夕景を楽しむ人たち(同上)

夕景見物のメンバー(同上)

眼下1600mにコロラド川の流れ

ココニノ台地の夕暮れ

ハーミッツレストで仰ぐ夕月

夕食会で皆さんは旅の印象を語ってくださいました。

(2017/2/8)

小 野  鎭