一期一会 地球旅 177リンデンハウス 平和を願って広島へ(5)

一期一会 地球旅 177

リンデンハウス 平和を願って広島へ (5)

明けて8月6日(日)、午前4時に各部屋にモーニングコールをお入れした。前夜はお好み焼きを楽しまれて長い一日の疲れを取っていただけたと思うが、結局2日続けての早朝起床であった。広島は東京からは直線距離で700㎞くらい西であるので日の出は1時間近くは遅いと思う。4時半には下に降りて玄関に出てみるとまだ真っ暗、さすがに気温は昨夕よりは少し下がっており、それほどの暑さは感じなかった。間もなく随行のHさんとメンバー数人が一足先にお集まりくださった。メンバー全員が携帯されている水筒に冷茶を補充することになっていた。予めホテルに頼んであり、人気(ひとけ)は無かったが食堂に入っていくと冷蔵庫にはポットに入れて準備されていた。この日もかなりの暑さが予想されており、平和記念式典そのものは45分間であるが始まるまでの待ち時間やその後の会場内での移動などを考えるとかなりの時間になる。その間の水分補給は欠かせない。昨今、日本中多くの場合、どこへ行ってもコンビニや自動販売機には事欠かないところが多く、水分補給そのものにはあまり苦労はない。とはいえ、自分たちで水筒を持参していればさらに安心というわけである。準備段階で宿泊各所にお願いしたところ、このビジネスホテルでは快諾いただけた。しかし、その後の宮島では、衛生管理上の理由からそれには応じてもらえなかった。宿泊客が出発後に何らかの体調異変や異常が起きるとそれ自体、宿泊機関としては宿泊期間中の食事や飲み物について何らかの疑いを持たれたり、管理体制や責任を問われることがあるかもしれない。昨今の食中毒発生の例などを見ると施設側としては無理からぬ判断であろう。

5時前には全員がロビーに集合された。皆さんは式典参加に備えて威儀を正した爽やかな服装。どなたも期待に胸を膨らませておられる様子が感じられた。すでにホテル前にはバスが待機しており、昨日と同じドライバーのU氏と今朝はガイドとしてSさんが皆さんを迎えてくれた。Sさんは大柄で、明るく朗らかな感じの女性で元気のでる挨拶が交わされた。

さて、今朝の最初の仕事は先ず5分ほど走ってコンビニへ寄ることであった。出発が早いので、ホテルでは残念ながら朝食は準備していただけない。考えた挙句、途中のコンビニでおにぎりかサンドイッチなどを買って車中で召し上がっていただくこと、これもバス会社に相談し、予め了解を得ていた。とはいってもこれほど朝が早いと、10数名分の朝食となると店側でもすぐには対応できないと思われるのでこれも事前に電話をかけて準備してもらっていた。文字通り、コンビニエンス・ストアである。そのころには少しずつ、空も明るくなり始めていた。朝食の評判はなかなかであった。中島代表始め、随行の各氏からも近頃のコンビニのサンドイッチは随分おいしくなりましたね、と喜んでいただけた。

ガイドのSさんの案内を聞きながら、朝食を食べているとあっという間に市内中心部に達していた。中国山地から流れてきた太田川は河口付近では数本に分かれており、京橋川を渡ると中心部が広がり、幅広く大きな通りが碁盤目状に走っている。さらに元安川を渡ると平和記念公園が右側に広がっている。走り抜けてきたのが平和大通り、そして渡ったのが平和大橋と中心部一帯には平和を冠した通りや橋、公園、そして建物が続く。市内には飲食店や店舗などにも平和・・・が多いと聞いている。まさに広島市民の願いがそこに溢れていることがよくわかる。

 

ところで、この日、平和記念公園一帯はかなり交通制限が行われると聞いていたが、それが開始される時間よりも前に現地に到達したのであった。式典入場は先着順であることは当初より承知していたが、現地には伝手が無かった。そこで広島市の担当部署へ問い合わせてメールで幾度か問い合わせるなど助力を求めた。最初のころは一般的な情報であったが、回を重ねるうちに次第により詳しくヒントをいただけるようになった。交通制限もそのうちの一つであった。幸い、予想より早くに現地へ着いたので会場近くまでバスで行くことができ、降りて歩く距離もわずか、ほんの数分で現地に着くことができた。早起きは三文の徳とはまさにこれであろう。

 

通りを渡ると目の前には横長の大きな建物がある。平和記念資料館の本館がそれであった。今年から来年にかけて工事中と聞いている。代わりに東館は今年春の大型連休前に改築が終わり今回はこちらが開館していると知らされている。今回も式典が終わった後、見学を予定していた。まだ、午前6時前であったが、公園内にはすでにたくさんの人がいた。広島市や関係団体の職員であろうか忙しく行き来している。警備関係者も多いし、学生などボランティアと思しき若い世代もたくさんいる。式典会場入り口にはかなりの人が並んでいた。案内を見ると遺族や関係者のコーナーへ入る人の列と一般席への列、こちらは案内図を見ると2列に分かれており、中央部分のテントが張ってあるセクションとテントは張ってない席らしい。どちらに並ぶのが有利か? 案内係や警備係と思しき人たちに聞いてもあまり要領を得なかった。たくさんの関係者がそこここにいるが誰もがにわか作りの組織であり、ほとんどの人が確たる情報はつかんでいないようであった。何はともあれ、並ぶことが肝心!

すでにテント張りセクションはかなりの人であったのでそこに並んで入りきれないと後回しにされると不利になりそうだ、との心配もあった。そこでより確実に、ということで青空天井セクションに並ぶことにした。次第に気温が上がってきているが公園内には緑も多く芝生が張ってあるのでそれほど暑さは感じない。勿論、雨の心配もないので先ずは安心。列を作っている人の様子を見ているとことばから地元の人よりも関西弁、中には東北弁と思われる言葉も聞こえてくる。そして外国人の姿も多い。欧米系もあれば東南アジア系? 韓国語も少し聞こえていた。

 

こうして待つこと30分余り、6時半ごろに列が動き始めて前の方から入場開始、無事、メンバー全員前後2列で座ることができた。これから式典開始まで1時間半、この席で待つことになる。先ほどもらったプログラムを読んだり、しばらくして配られた平和への祈りを込めて参加者が一羽ずつ折り鶴を作ったり、はるかに見える慰霊碑脇では合唱団が発声練習をしていたり、マイクのテストもあればたくさんの人が会場内忙しく行き来している。メンバーは席が確保されたので安心して交替でトイレに行くことも忘れなく・・・  待ち時間は長かったが会場内の様々な風景を見ていると飽きることはなかった。会場の脇の通路を見るとまだ長い列ができていたが、すでに一般席は満席とのアナウンスも聞こえていたのでそれらの人たちは立ったまま開会を待つことになる。その風景を見ていると、早朝、暗いうちから行動していただいたお蔭とお互いに喜んでいただくことができた。

(以下次号とさせていただきます)

(資料、上から順に。 ことわりのないもの以外は2017年8月6日撮影)

夜明け前、いざ、出発!

平和記念公園、中央部が原爆死没者慰霊碑、一番手前が平和大通り(広島市資料借用)

平和祈念式典一般席入口

一般席に並ぶ長い列

全員着席、自然に笑みが浮かんでくる!

開会を待つ会場内の様子

(2017/9/27)

小 野  鎭