一期一会 地球旅 183 リンデンハウス 平和を願って広島へ(12) 宮島(6)

一期一会 地球旅 183

リンデンハウス 平和を願って広島へ(12) 宮島(6)

海鮮御膳の夕食を楽しんだあと、メンバーと随行スタッフはこの旅行で印象深かったことをそれぞれに語ってくださった。とりわけ、ピースワンコ・ジャパンでの犬の保護に関することは予想以上に興味があったらしい。ペットして可愛がりながらも無責任に犬を放置する人がいたり、野犬などが殺処分されているという話には驚きを禁じ得なかったのであろう。無事に保護されて新しい飼い主にもらわれていくとか、救助犬として活躍している犬などの紹介にホッとした様子が窺われた。そして、最大の関心事は平和記念式典に参加したこと、そのあと、資料館に展示されていた被爆した人たちが残した数多くの遺品であるとか、目を覆いたくなるようなたくさんの写真であった。メンバーが受けた衝撃はたいへん大きなものであり、平和への祈りと核兵器廃絶ということについてむつかしい話ではあってもメンバーなりに受け止められたことが強く感じられた。原爆投下がもたらした悲惨な数多くの展示物を見たあと、米国のバラク・オバマ大統領の折り鶴と写真を通して、核兵器を無くすことへの願いについてぜひそうであってほしいという気持ちを感じた人も多かった。そんな楽しいひとときを終えて、20時半ごろ宴は終わった。最後にお願いしたのは、台風が接近しており、明日の朝はその影響が出るかもしれないということ。予定変更や緊急の事態に対応しなければならないかもしれないのでそれに備えて今夜は早く休んでほしいということであった。

2日前、東京出発頃から沖縄・奄美地方を気象庁いうところの「のろのろ台風」は、きわめてゆっくり北上していた。徐々にスピードを速めながら北東方向に進んでいた台風5号の動きへの心配が本物になりつつあった。九州南方海上から四国方面へ進むであろうことをテレビで報じていた。その夜はさすがに熟睡にもならず、テレビで台風の動きを幾度も見直した。そして次第に悪い予想は本物になりつつあることを意識せざるを得なかった。瀬戸内海方面への襲来は無いにしても少なからず暴風雨の影響は出てきているらしく、せめてもの願いはフェリーが朝のうちだけでも動いて欲しいと願うのみであった。5時過ぎにロビーへ行き、前夜から様々な場合に備えて相談してきたフロントのスタッフに今朝のフェリーの動きについて恐々尋ねてみた。朝一番は5:45発である。悪い予感は的中し、現段階ではオペ不可らしいとのこと。脳天をガツンとやられた気分であった。このまま回復せず、宮島から本土へ戻れないとすればホテルで足止めを食らうことになる。次の課題は、広島からの新幹線であった。予定では、のぞみ126号、10:53発である。宮島から広島へはJR山陽本線の在来線で30分近くかかるので遅くとも10時には宮島口を発たなければならない。フェリーが動かない以上、皆様を早く集めてもそれ自体は無意味なことであるが状況だけはお伝えしてこの先の選択肢等について説明しておかなければならない。何はともあれ、中島代表にこのことをお伝えして皆様にお伝えすることについて了承を求めることが第一であった。フェリーが出ないとすれば、それ以外に民間の船をチャーターするなど現段階では無理であることはすでにフロントから聞いていた。

皆さんには6時過ぎに集まっていただき、上京を説明した。この先どうなるかわからないが取りあえずは朝食を召し上がっていただきたいとお願いし食堂へお越しいただいた。ホテルにはお願いして、予定より早めてもらって6時半から朝食。どこに入ったのかわからないような朝ごはんであったがその途中でフロントからフェリーが動くらしいと連絡があった。台風は四国沖を東北東へ進み紀伊半島南部へ進んでいるとあったが、広島湾はそれほど風雨は強くはなく、フェリーの運航には差し支えないだろうとの判断が為されたのであろう。フロントで確かめ、フェリー事務所にも念のため連絡してもらって間もなく通常通り動くこととの確認を得た。

メンバーからは大きな歓声が上がった。そして、この先の状況が変わらないとも限らないので、このまま早く発っていただくことにした。7時過ぎには来た時とは反対にエレベーターで五階へ上がり、降りしきる雨の中、マイクロバスに乗り込んでもらう。フロント以下ホテルのスタッフの見送りを受けてフェリー乗り場へ向かった。こうして宮島を発ったのは7:45、宮島口を8:46に発ち、広島へ向かった。JR山陽線の在来線は何事もないように動いており、順調に広島着。こうして当初予定していたよりも広島駅での待ち時間は2時間近くになった。お土産を買ったり、カフェで休んだり、ベンチに腰を下ろしてホッとしているメンバーの姿があった。広島駅の構内はほとんど真っ赤なカープ色、市を挙げて広島カープを応援している様子が窺えた。そういえば、宮島の門前町で見かけたのもカープタクシーであった。宮島の町はどこへ行っても階段や曲がりくねった狭い道が多い。加えて、旅行客の多くはホテルや旅館の送迎車を利用しており、それ以外は徒歩が殆どと聞く。結果的に、タクシーそのものは町には3台しかなく、それも全部カープだとか。ただし、真偽のほどは定かではない。

それにしても慌ただしい朝であった。今朝の宮島は風雨の中に煙っており、ゆっくり眺めるいとまもなかった。加えて、グランドホテル有もとの良さをじっくり味わう時間もなかった。前日到着して今朝まで、フェリーの運航の可否に振り回されたがいずれもテキパキ対応してくれ、嫌な顔も見せずいつも快く応じてくれた。サービス業とはかくありたいものと学びの多い滞在であった。個人的には厳島神社にお参りし、弥山に上がり、霊火堂で弘法大使の不消霊火(消えずの火)を訪ね、そして瀬戸内海の風景を楽しむため一度ゆっくり訪れたい。

のぞみ126号は予定通り動き、車内ではメンバーの熟睡している様子が微笑ましかった。車内の電光ニュースでは、台風5号の動きと四国や紀伊半島などあちこちで鉄道の不通や遅延が報じられていることを伝えていた。そんな様子を見ながら結果的には予定通り帰京できたのは何ともラッキーな旅の終わりであった。厳島神社で海上交通など旅の安全を祈ったことへの御利益だったに違いない!

資料 (上から順に、2017/8/7撮影)

強い雨に打たれ、フェリー乗り場へ。

昨日とは大違い、雨に煙る大鳥居

7:55発宮島口へのフェリーを待つ人たち

宮島口の駅で、悠々と広島行の電車を待つことができた。

宮島口の駅でも外国人旅行者を随分見かけた。

(2017/11/7)

小 野  鎭